理事長挨拶

2008年当時、調査によればこの3年間にうつ病などの精神疾患で仕事を休む社員が6割の企業で増加し、しかも30代の働き盛りの年代で最も増加していることが指摘されています。厚生労働省の患者調査によると、うつ病を含む気分障害の推定総患者数は1999年の44万人から2002年の71万人へと大幅に増加しています。また、自殺者が3万人を突破したのは1998年であります。
これと呼応するように、企業内でうつ病で仕事を休む社員が増えるとともに、いったんは復職しても再休職する社員が多くみられるようになり、メンタルヘルス対策の必要性が2000年以降叫ばれるようになってきました。これら一連の動きはおおよそ1990年代以降の現象であると思われます。 このようなことを背景として、近年のうつ病や不安障害は以前のように休養と薬物では復職が困難である場合がしばしばあり、治療法として心理療法とリハビリテーションが脚光を浴びています。休職中の社員を職場へ復帰させるためのリハビリテーションとしては、1997年に秋山(NTT東日本関東病院)が作業療法の枠組みで始めた職場復帰支援プログラム(RAP)を先駆けとして各地の医療機関に様々な形で広がりました。
2007年、秋山、横山(札幌駅前クリニック)と私の3人が呼びかけ、札幌で行われた第4回日本うつ病学会終了後にリワーク・プログラムを持つ全国の10医療機関に声をかけ情報交換の場を持ちました。それを母体として、尾崎(名古屋大学)を加えた4人が発起人となって研究会の設立を呼びかけ、平成20年3月29日に当研究会が発足しました。
そしてうつ病リワーク研究会が設立されて以来、2018年3月で10周年を迎えます。国内の労働環境は、大きく変化しています。少子高齢化による労働人口の減少、労働人口の減少への対策として生産性の向上や女性や高齢者の労働参入という流れがある一方、過重労働自殺や働き方改革による労働時間削減の流れもあります。産業面では、IT化により世界との取引が拡大することで非先進国の工業化が進み、その結果として国内産業構造の変化が求められています。また、気分障害の患者数をみると毎年100万人を超える状況が続いており、労働環境の変化やストレスチェック制度の効果が職場のメンタルヘルス不調や休職者の発生状況にどのように影響を与えているか、内容を注視すべきところです。
そのような背景の中、法人化に関してはこれまでも世話人会において様々な角度から検討をなされてきましたが、以下に述べるような目的を果たすには任意団体としての活動では限界があり、また、永続的に活動を行う必要があることから、今回法人化し、一般社団法人日本うつ病リワーク協会となりました。

教育研修の充実と認定制度の確立
研究会が組織され10年が経過し、研究会会員数が全国で220か所を超えるまでに成長してきた。しかしながら、施設間でのプログラム内容や質のばらつきが大きいと指摘されている。リワークプログラムの質を担保するためには、管理監督者の理念とプログラムを実施するスタッフの力量が重要な要素である。したがって、教育研修制度を基本として、専門スタッフの認定と同時に施設要件を満たしているかの認定を行う必要がある。現在、研究会の委員会で教育研修及び認定に必要な要件の整理を行っており、認定に関しても試験的にはじめている。今後、その事業は協会に引き継がれ、教育研修制度を充実させつつ、認定制度を確立していくことを目的とする。

普及啓発活動の充実
これまでもリワークプログラムの普及啓発は様々な機会をとらえ、多様な方法で行ってきたが、この活動をより一層充実させることを目標とする。とりわけ大都市圏以外の地方都市における普及はまだ不十分であり、地域単位での普及啓発が出来るようなパンフレットなどの媒体の開発や講演会活動の充実を図っていく。同時に地域単位で企業と医療機関が連携する機会を協会が企画実施していく活動も充実させる。また、医療機関における診療レベルで休職者が使えるようなリワーク手帳などの開発も行い様々な場面での普及啓発活動を行う。

調査研究を通しての活動の充実
研究会として従来から調査研究活動を行ってきたが、主にリワークプログラムの有用性に関する調査研究が実施されてきた。今後は利用者の分析を通じてどのような疾患に有効なのか、特定の疾患に必要なプログラムをどのように提供するのかなどのような、リワークプログラムの内容に関する調査研究を通じてさらに効果のあるプログラムとなっていくことを目的とする。

理事長 五十嵐 良雄

一般社団法人日本うつ病リワーク協会 概要

組織

  • 役員・評議員体制
  • 理事、監事の体制になります。また新たに評議員制度を制定し、一般法人法上の社員とします。
  • 顧問
  • 事務局


活動目的

研究活動 〜プログラムの標準化と多様化、地域連携〜

  • 医療機関におけるリワーク活動の実態に関する研究
  • リワークプログラムの多様化に対応したプログラムのモデル化に関する研究
  • リワーク施設職員の研修体制および評価に関する研究
  • リワークプログラムの費用と効果に関する医療経済的研究
  • 地域における就労活動のための諸機関との連携の標準化

啓発活動 〜リワークの実例を知ってもらう〜

  • 医療機関向け研修会の実施
  • 企業向け研修会の実施
  • 学会における活動

定款第3条
当法人は、うつ病等により休職した方の職場復帰支援に関心の有る者が集まり、リワークが行なえるよう、相互の連携により患者が適切な医療サービスを受けられる基盤作りを行うことを目的とする。リワークとは正しい診断と適切な治療を通じた復職支援及び再休職予防のことをいい、リワークを行う施設のことをリワーク施設という。

2018年度事業計画

一般社団法人日本うつ病リワーク協会 役員構成

理事
  地区 医療機関名 所在地 氏名
1 北海道 さっぽろ駅前クリニック 北海道 横山太範
2 東北 あさかホスピタル 福島 佐久間啓
3 関東 NTT東日本関東病院 東京 秋山剛
メディカルケア虎ノ門 東京 (理事長)
五十嵐良雄
4 甲信越
北陸
響ストレスケア〜こころとからだの診療所 山梨 大橋昌資
十全病院 石川 岡敬
松原病院(福井) 福井 松原六郎
5 中部 名古屋大学医学部附属病院 愛知 尾崎紀夫
6 近畿 京都駅前メンタルクリニック 京都 三木秀樹
7 中四国 草津病院 広島 佐藤悟朗
8 九州 不知火病院 福岡 徳永雄一郎
監事
1 関東 品川駅前メンタルクリニック 東京 有馬秀晃
2 甲信越
北陸
松原病院(石川) 石川 松原三郎
顧問
一般社団法人日本うつ病センター 理事長 樋口輝彦
一般社団法人日本うつ病センター 副理事長 野村総一郎
一般社団法人 認知行動療法研修開発センター 理事長 大野裕

一般社団法人日本うつ病リワーク協会 評議員構成

No 地区 医療機関名 所在地 氏名
1 北海道 さっぽろ駅前クリニック 北海道 横山太範
2 大谷地病院 北海道 田尾大樹
3 東北 あさかホスピタル 福島 佐久間啓
4 山形さくら町病院 山形 後藤 剛
5 田代クリニック 秋田 田代哲男
6 関東 さくら・ら心療内科 栃木 加藤和子
7 たてばやし心療クリニック 群馬 柴田信義
8 NTT東日本関東病院 東京 秋山剛
9 メディカルケア虎ノ門 東京 五十嵐良雄
10 品川駅前メンタルクリニック 東京 有馬秀晃
11 武田病院 神奈川 武田龍太郎
12 心の風クリニック 千葉 佐々木一
13 甲信越
北陸
信州大学医学部附属病院 長野 鷲塚伸介
14 響ストレスケア〜こころとからだの診療所 山梨 大橋昌資
15 まことクリニック

新潟

高橋誠
16 松原病院(石川) 石川 松原三郎
17 十全病院 石川 岡敬
18 松原病院(福井) 福井 松原六郎
19 中部 名古屋大学医学部附属病院 愛知 尾崎紀夫
20 仁大駅前クリニック 愛知 舟橋利彦
21 こころとからだのクリニックあおいクリニック 静岡 寺田浩
22 養南病院 岐阜 関谷道晴
23 近畿 京都駅前メンタルクリニック 京都 三木秀樹
24 湖南クリニック 滋賀 楢林理一郎
25 阪南病院 大阪 黒田健治
26 有馬病院 兵庫 川嶋祥樹
27 中四国 草津病院 広島 佐藤悟朗
28 宇和島病院 愛媛 渡部亜矢子
29 渡辺病院 鳥取 渡辺憲
30 九州 不知火病院 福岡 徳永雄一郎
31 桜が丘病院 熊本 大礒宏昭
32 西脇病院 長崎 西脇健三郎
33 大分大学医学部附属病院 大分 寺尾岳