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※当事務局には医師は常駐しておりませんので、ご病状や治療、お薬に関するご質問・ご相談には 対応することができません。また、医師や病院の紹介は行っておりませんので、ご了承ください。
2023年11月24日に訪問し、看護師の渡辺ゆう子さん(デイケア課リーダー)にお話を聞いた。
総合心療センターひながは1956年に開設された精神科病院で、地域の精神科救急医療などを担っている。2007年11月よりデイケア内でリワーク専門デイケアが開始される。開設からの9年は、当協会の前身団体であるうつ病リワーク研究会開設当初よりのメンバーであるささがわ通り心・身クリニック(同法人の外来部門)で実施されていたが、2016年11月から外来部門を統合し、現在の施設(デイケアつばさ)で継続されている。
法人として病診連携を重要テーマとして掲げ、2014年からは他院通院中の方でも、転院をせずデイケアのみの利用を可能としている。加えて地域の会社との信頼関係を構築してきた結果、利用者数に関しての心配はないという。
スタッフは医師のほか、復職準備コース担当として看護師1名、公認心理師2名であるが、それ以外にも複数名のスタッフがプログラムを通して支援をしている。
利用にあたっては、現在休職中で復職を目指しており、少なくとも週2日来所できてプログラムに参加できる程度の回復を確認したのち、生活リズムの改善、基礎体力・作業能力の回復を目指し、『生活リズムクラス』でのプログラムが始まる。
プログラム開始とともに担当スタッフが付くが、ここでは「オフィスワーク」と「インドアスポーツ」や「ウオーキング」などの運動プログラムに加え、週1回の「うつ病心理教育」(全4回)に参加する。そして、週2~3回のデイケア利用ができるようになると、再発予防プログラムとして位置づけられる以下の4つのプログラムが提供される。
そのプログラムは、①問題解決技法と再発予防についてのグループワークである「PSワーク」(全2~3回)、②書籍を読んでまとめを行いプレゼンテーションの後に参加者で意見交換を行う「読書会」、③認知行動療法の基本モデルを学ぶ「かんたんCBT」(全3回)といった集団プログラムが行われる。週2回から徐々に参加日数を4日まで増やしていく。
「PSワーク」(①)を終了し、週4回程度のデイケア利用が安定していると、ステップアップして『再発予防クラス』に進む。そこで、④今後の働き方や再発予防についてグループで検討し、その一環として自分研究に取り組む「復帰の研究会」、に参加する。
そして「かんたんCBT」(③)に参加または認知療法の書籍を1冊読む、あるいは自分研究を作成中か完成した場合にはCBTのコラム法を練習する「実践CBT」(③の実践版)に参加する。そして試し出勤を含め職場復帰の日程がきまると、職場復帰後をイメージしてのグループワーク「職場道場」に参加する。
このようにプログラムの特徴として再発予防プログラムを重層的に提供しているといえる。また、全期にわたり運動プログラムが継続され、体力回復と維持が重要であるという点がメッセージとして受け取れる。
復職後のフォローアップは、第4土曜日の午前にショートケアでフォローアッププログラムがあり、年3回退籍者対象のフォローアップの会を開催している。
2007年11月~2023年11月までのアウトカムデータとしては、利用者合計が640名(男性531名、女性109名)で疾患としてはうつ病性障害62%、双極性障害11%、統合失調型障害2%、適応障害2%、その他23%であった。
利用期間としては3~6か月が187例と最も多く、次いで6か月~1年の136例、1~3か月の94例であった。転帰としては復職が74%、中断17%、転職2%、その他が7%であった。紹介経路は他院から50%と最も多く、自院が21%、会社からが26%であった。
製造業と公務員が多く、業種として専門職が最も多くITエンジニアが多いという、次いで事務職、生産職となっている。