- ロゴマークについて
- 参考ツール紹介
- 文献紹介
- 関連書籍情報
※当事務局には医師は常駐しておりませんので、ご病状や治療、お薬に関するご質問・ご相談には 対応することができません。また、医師や病院の紹介は行っておりませんので、ご了承ください。
2023年8月31日訪問。院長の黒田健治先生、デイケア副主任・リワーク専従看護師の小泉恭子氏より主にお話をうかがった。
阪南病院は大阪府堺市に昭和31年に設立され、地域立脚型医療の推進と専門性の確立を大きな目標としている。その中で専門性の確立の一つの分野としてメンタルケア病棟でのうつ病治療の一環としてデイケアでのリワークプログラムが2012年より行われており、2020年10月に当協会の9番目の認定施設となっている。
利用日数は週2~3日のステップ1、週4日のステップ2では集団活動も行い、週5日のステップ3では本人を主体とした職場とのやり取りが行われる。利用者は原則休職者であるが、離職1年未満は参加可としており、主治医は原則的に変更してもらっている。
プログラムとしては、専門外来のリワーク外来(2012年6月から開始)で診察、チェックリストや心理検査を実施し、判定会議・オリエンテーションをへて開始となる。特徴として医師、看護師をはじめとして精神保健福祉士、心理士、作業療法士の他、歯科医師(かみ合わせや食いしばりとメンタルヘルスの関連)、薬剤師(コンコーダンスの考え方に基づいた服薬指導)、栄養士など多職種がプログラムに関与していることである。
午前中のプログラムはデスクワーク中心となるが、週4回、12~13時にマインドフルネス(週1回は医師による)を実施している。午後は月曜が「ストレッチ」(ストレス軽減のためのリラクゼーション)、火曜が「心理教育」(前術の多職種による教育プログラム)、水曜が心理士による「ストレスマネジメント講座」(認知行動療法などによる心理プログラム)、木曜は集団プログラムとしての「ミーティング」が実施され、金曜は午前・午後と「グループワーク」(対人関係を意識した集団療法)が行われている。
その他、ステップ1から看護師及び心理士との面談を通じて休職に至る自己分析が開始され、休職要因の分析やトラウマの抽出が行われる。また、医師は内省として関与する。また、精神保健福祉士によるダンスセラピーも行われ、身体感覚へアプローチし自己洞察や自己解放ができるよう支援をしている。リワークを通じて「人とのつながり-他者への安心感や信頼感を回復する」「しなやかに生きる」ということにつながるよう働きかけをしている。
2012年9月~2023年3月のアウトカムとして、プログラム利用者が男性113人、女性29人であった。年齢分布は40代>30代>50代で、主診断はF3が80%(うち双極性障害が10%)、F4が15%であった。業種は公務員が多く50%を占め、事務職や郵政が多かった。
利用者のうち20%が中断し、73%の106名が終了した。うち83%が復職、就労7%、退職8%、デイケアへ移行が3%であった。復職6か月後の80%が就労継続、9%が再休職であった。11%は追跡できなかった。
地域性として南大阪は中小企業が多く、産業医を介しての地域での連携は少ない。また、病院に勤務する医師の数は多いが、病院でいろいろな経験を積んで地域で開業して連携を取ることも大事だと考えているというお話をうかがった。